スタッフの福田です。私の知人はアルツハイマー型認知症と診断されています。認知症は脳への刺激を増やすと良いそうで、私は月に一回、子供を連れて知人に会いに行っています。会いに行くと大喜びで、料理を作ってくれたり、私の子供と一緒にドリルをやったりして、凄く活き活きした表情を見せてくれるのです 😀 知人は一人暮らしなので、こまめに電話をしたり、会いにいこうと思います 🙂
最近、アルツハイマー病などの認知症を心配して脳ドックを受診する人が増えています。主に脳梗塞の兆候をつかむ目的で使われてきましたが、用途が拡大しつつあります。ただ、認知症の発症メカニズムは解明しきれておらず、予防・治療法も研究途上です。脳ドックに期待しすぎないで、検査内容や、分かることと分からないことを理解したうえで上手に利用したいですね。
慶応義塾大学病院が2012年に開設した予防医療センターでは、脳ドックを受ける人は午前中にまず先端装置を使った画像検査をします。磁気共鳴画像装置(MRI)で脳のしわなどの細かい構造を見たり、血管の様子を調べたりします。頸(けい)動脈の血流や血管壁を超音波で調べる頸動脈エコーの検査もあります。
脳画像などの第一の目的は脳の血の巡りが悪くなり、脳梗塞をもたらす懸念がある「大脳白質病変」などの異常や血管障害をつかむことです。「物忘れがひどいけど、大丈夫か診てほしい」と検査を受けに来る人も多いですが、画像からは認知症の兆候が直接読み取れるわけではありません。むしろ偶然、脳梗塞などの危険がわかるケースが多いといいます。
認知症の診断につながるのは、午後の医師との面談です。1人あたり1時間ほどかけ、気になっていることを医師に話します。「ある程度心が通じ、気持ちよく検査を受けてもらわないと本当の状態がわからない」と担当医は打ち明けます。「打ち解けるための時間を大切にしている」といいます。
緊張がほぐれたところで、一般的な知能テストや記憶テストを受けます。「今日は何月何日ですか」「これから言う言葉を繰り返してください」など、正常なら決して難しくない問いに答えてもらいます。物語を読んで30分後にどれだけ覚えているかを説明するテストもあります。いずれも、認知症を専門に扱う同病院の「メモリークリニック」で実施している検査を参考にしたものです。
脳ドックは通常の人間ドックの追加メニューとして用意しています。「人間ドックでは生活習慣病を把握するための問診などをしており、その情報も脳の病気を判断するのに役立てる」(予防医療センター)。総合的な健診がよいといいます。
検査で異常が見つかりメモリークリニックの受診や治療などが必要と思われる場合は医師から詳しい説明があります。問題があると言われショックで落ち込む人もいますが、あまりストレスにならないよう前向きに考える姿勢も大切です。
MRIの画像を専用ソフトウエアで処理し、認知症との関係が深いとされる脳の萎縮の有無を判定する医療機関も出てきました。南東北グループの新百合ケ丘総合病院(川崎市)は脳ドックのメニューに、同ソフトを使う「脳萎縮解析検査」を設けています。記憶をつかさどる海馬という部位の萎縮がないかなどを調べます。
ソフトは「VSRAD」と呼ばれ、海外でも使われています。標準的な脳のデータと検査を受けた人のデータを比べ、萎縮の程度を0~3の数値で表示します。1以上だと萎縮が疑われ、数値が大きいほど問題があるとされます。
ただし「脳の形には個人差があるので、最後は医師が画像を見て判断する必要があります」と同病院の笹沼仁一院長(脳神経外科)は指摘します。ソフトは50歳以上向けです。30代~40代でも脳の萎縮を心配して検査を希望する人が多いといいますが、正しい判定が出ないかもしれないと知っておきましょう。
50歳以上でも「脳に萎縮が見つかれば必ず認知症というわけではありません」(笹沼院長)。例えば飲酒量が多い人は前頭葉に萎縮がみられる場合がありますが、認知症には直結しません。
主にがんの早期発見のために使う、陽電子放射断層撮影装置(PET)とコンピューター断層撮影装置(CT)を組み合わせた「PET―CT」の画像が役立つこともあります。がん検査よりも少し長く時間をかけ、頭部の画像をとります。脳をスライスした画像で、働きが悪い部分などが見えます。アルツハイマー病に至っていない軽度認知障害を把握できる可能性があります。
脳ドックは最先端の診断機器やシステムが次々に導入されています。大切なのは画像をきちんと読み取れる「読影」の専門家や、検査結果から病気との関連を判定できる医師がいるかどうかです。日本脳ドック学会の認定施設は参考になります。新設の病院などはリストに入っていない場合がありますが、医療機関のホームページなどで脳や神経の専門医がそろっているかをあらかじめ調べるといいです!
〈語句解説〉
脳ドッグとは…脳ドックとは、MRI検査や血液検査などを行い、脳卒中などの脳の病気の危険因子を発見するための健康診断です。
アルツハイマー病・アルツハイマー型認知症…認知機能低下、人格の変化を主な症状とする認知症の一種である。日本では、認知症のうちでも脳血管性認知症、レビー小体病と並んで最も多いタイプである。